南山病院 > 禁煙活動について > 敷地内禁煙までの取り組み:目次 > 敷地内禁煙までの取り組み

1.はじめに

南山病院では、平成19年5月1日より敷地内全面禁煙が施行され、同時に禁煙外来が開設されました!!!

病院の禁煙は普通なのでは?と思われる方も多いかと思います。
ただ、精神科では一般的に「患者さんの気持ちを落ち着かせるものとして喫煙は有効」と考えられており、 南山病院でも禁煙はきわめて困難・・・というより「不可能」と思われていました。

しかし、

maru人体への影響

(未成年の患者さん・喫煙されない患者さんにとって受動喫煙は大迷惑!)

maru火災発生への懸念

(昼夜を問わず、たくさんの患者さん・職員が院内に・・・)

maru被災時に全ての患者さんを安全に避難させることができない可能性

(夜には不眠時のお薬を服用されている方もおられます)

maru精神科のイメージ低下

(多数の患者さんが玄関前でスパスパ・・・の光景から受ける印象は、「こわい」などの精神科への偏見を増長させかねないものです)


など、タバコに起因する危険に危機感を持っていた院長の大号令により、平成15年から病院禁煙を目指すことになりました。


2.取り組み開始当時の状況

まず目指したのは、「患者さんの施設内分煙」及び「職員の敷地内禁煙」。

最初の取り組みとして、患者さん・職員を対象とした禁煙勉強会をスタートしました。
卒煙成功者が体験談を話したり、メンバーが禁煙開始日の宣言・喫煙習慣の分析・喫煙状況の報告・ 「どんな時に喫煙したくなるか」「喫煙したくなる気持ちをどのように抑えているか」などについて語り合い、 全員で卒煙に向かいます。

単なる情報交換の場ではありません。同じ目標を持つ仲間と出会うことができ、 辛さを分かち合い励ましあうことで気持ちが癒されます。また、定期的に開かれることにより 「次回の勉強会で発表できる実績を作りたい」という思いが生まれ、前に進む力となります。

ところで、就業中に一切タバコを吸うことができなくなった南山病院職員の状況でございますが、 当時は半数以上が喫煙者で、「禁煙させられる」ということに抵抗感・苦痛を感じる職員も少なからずおりました。
(中には「タバコがないと仕事ができない!!」と表立って反発する者も・・・)

"地獄の苦しみ"と形容する人もいるくらいの「禁煙」です。簡単に進む訳もなく。。。

しかし、職員が禁煙できない状況で患者さんの禁煙を進めることなどできません。 本当に病院禁煙などできるのだろうか・・・推進を決めた院長ですら何度か迷うことがあったそうです。


3.変化

禁煙活動の実現性が疑問視される中、状況が動き出すきっかけがありました。
それは、院長が病院禁煙を決意するきっかけともなった「病院機能評価認定」。 平成16年度中の取得に向け病院一丸となって準備を進める中で、 「禁煙が重要視され重点的に求められている」事実を共通認識することにより、 職員の間でも必要性が理解され徐々に意識改革が進んでいきました。

また、卒煙に成功した患者さんに触発されて挑戦するようになった職員もおりました。
禁煙の辛さ・苦しさがわかるのはやはり同じ喫煙者。 身近な人が卒煙に成功したことは大きな勇気となりました!!

平成17年には第1回職員禁煙教室が開催され、 当院医師・薬剤師による「タバコの害」「ニコチン依存」「社会情勢」をテーマとした講義が行われました。
更に、職員全員が参加できるよう日時を変えて合計6回行われています。

タバコの煙には数々の有害物質(発がん物質・発がん促進物質など)が含まれています。

妊婦さんが喫煙された場合には、 低体重児・流産・早産・死産・妊娠合併症・先天異常・新生児死亡の率が高くなると言われています。

寿命も非喫煙者に比べ喫煙者は10年ほど短く、老化も早いそうです。
当院の診察室前に貼られている一卵性双生児の女性お2人が並んだ写真をご覧いただければ、 全ての女性が「今すぐ禁煙したい!」と必ずや思うはずです。 喫煙しない女性のツヤツヤでツルツルの顔に比べ、喫煙する女性の深く刻まれたシワ・真っ黒にくすんだ顔。
「どちらでいたいか?」・・・問いの答えは全ての女性が一緒だと思います。

咳

喫煙されない方であっても、 受動喫煙により肺がん・虚血性心疾患・呼吸器疾患などのリスクが高くなることが報告されています。
喫煙者のいる家庭の子供は肺炎や気管支炎などにかかりやすいそうです。

喫煙者はご自身のみならず、大切な方の健康・命を自ら危険にさらしているとも言えます。


禁煙教室開催直後、喫煙率が突然激減しました。 職員の多くがタバコの恐ろしさや禁煙の必要性について強く考えさせられたものと思われます。
「タバコの害について正しい知識を持つこと」の重要性は言うまでもありません。 それがなければ禁煙の意志など生まれるはずもないのですから・・・。 以来、職員禁煙教室は繰り返し行われました。

そして、院外の禁煙講演会に足を運ぶなど積極的に勉強する職員が増えはじめ、 病院全体の雰囲気として「やればできる!」という自信・意欲の高まりが感じられるようになった頃の平成18年8月。
次の大きな目標であり巨大な壁であるとも言える「敷地内全面禁煙」を実施することが宣言されました。


4.実現に向けて

施行までの準備期間はちょうど1年。
命題は「敷地内全面禁煙」ですが、イコール「敷地内喫煙禁止」ではありません。
各病棟には分煙室・外来療養者様用には喫煙室が用意され、 特定の場所で喫煙することは許されていた患者さん、 及び院外での喫煙までは制限されていなかった南山病院職員の喫煙者にとっては、 更なる高いハードルが用意された瞬間でもありました。

「全患者さん・全職員の卒煙」を目指した活動が始まりました。同時にタバコの販売も中止です。

各部署の代表から構成される「禁煙支援委員会」が立ち上がり、 禁煙活動を強力に推し進めていくための体制が整備されました。
禁煙支援委員会の主な取り組みを以下にご紹介します。

患者さん・職員対象の
喫煙アンケート
喫煙者の気持ち(「困っていること」「悩んでいること」「これからどうしたいか」「病院へどのようなことを求めているか」など)をまずは知ることから〜ということで実施されました。
「個々のニーズに合った禁煙支援を行うためにはどのようにしたらよいか?」ということについて、今でも頻繁に検討が行われています。
禁煙支援アドバイザー 敷地内全面禁煙施行と同時にスタートする禁煙外来の準備のため、委員15名が「全国禁煙支援アドバイザー育成講習会」に参加しました。
「禁煙支援とは〜"指導"ではなく、"気持ちを大切にしサポートすること"〜である」というお言葉に深く考えさせられた委員も多かったようです。
各委員は「人の心に沿った禁煙支援」について、繰り返し話し合い、勉強を積み重ねています。

【禁煙支援の5か条】
1.禁煙中に喫煙した場合、禁煙リタイヤではなく禁煙再スタートを促すこと。
2.禁煙して苦しいのは3日間のみ!
3.禁煙の決意を持つように支援すること。
4.禁煙することのメリットを知ってもらうこと。
5.喫煙後は、時間を経過させずに支援の面談を行い、そしてスタッフはよき協力者であることを知ってもらうこと。

禁煙できないのは意志が弱いからではなく、「ニコチン依存症」という病気のためです。
失敗はよくあること。卒煙成功者は「失敗から再スタート」を何度か繰り返しています。あきらめないで焦らず根気良く長い目で。卒煙までがっちりサポートいたします!!
「禁煙タイム」発行 禁煙タイム 禁煙及び禁煙支援に有効な情報や委員会活動報告を記した広報誌を、職員向けに毎月配布しています。
各部署の取り組みもこちらで報告されます。
「さわやか検問」実施 禁煙チェッカー 朝出勤すると突然「禁煙チェッカー」なるものが登場し、喫煙レベルを数値で計測されます。
「禁煙勉強会」実施 毎週、喫煙者の職員(禁煙中)を対象にした勉強会を行っています。

【禁煙方法例】
1.禁煙治療を行う・・・保険適用の禁煙外来で専門医に相談しましょう。心理的にも経済的にも負担の少ない禁煙ができます。
2.禁煙貯金・・・タバコに費やすお金をそのまま貯金へ。1日1箱(300円)の方の場合、1ヶ月に9,000円、1年で108,000円にもなりますよ〜。
3.歯科に行く・・・ヤニで黒ずんだ歯をピカピカにしてもらいましょう。「このきれいな歯をキープしたい」という思いが生まれます。

困っていることや悩んでいることなど何でも相談できる場です。楽しみながら禁煙にチャレンジしよう!をモットーに、みんなでがんばっています。
美化運動 毎朝、各部署が持ち回りで敷地内や道路のゴミや吸殻を拾いながら歩きます。
拾った吸殻の本数・特に多く捨てられていた場所は記録され、重点的に職員が巡回するようにしています。(美化パトロール)
敷地内がきれいに掃除され、更にパトロールも行われているとあって、活動開始当初よりだいぶ吸殻の本数が減ってきました。
「喫煙しにくい環境作り」は禁煙活動には決して欠かすことのできないものです。
禁煙ポスター掲示 敷地内禁煙ポスター これでもかっ!って言うくらい、敷地内のいたるところに「敷地内禁煙」のポスターが貼られています。
一体どのくらい貼られているかと申しますと・・・「このポスターが目に入らない場所は南山病院敷地内に存在しない」レベルです。

職員は特に意識していなくても、禁煙支援委員会の様々な活動を折につけ目にします。
取り組みが変わらず継続していることや活動への熱意を知り、 そして、病院がどれだけ禁煙活動に力を注いでいるか(=禁煙からは逃れられない・・・)を確実に認識するのです。


5.患者さんの取り組み

患者さんの禁煙ももちろん進められておりました。

各病棟では、分煙室の時間短縮が行われ、徐々に喫煙が制限されるようになりました。
禁煙DVDの鑑賞タイムが設けられ、併せて禁煙パイプを積極的に推進しています。 他にも、「歯磨きを行う」「飴玉を舐める」「気分転換に院内を散歩する」を勧めるなど、 個々に合った禁煙方法を一緒に考え、応援しています。
急に入院した患者さんにはなかなか理解を得られない場合もありますが、 根気強く禁煙の必要性・メリットをご説明させていただいております。

精神科OT(作業療法)活動の中でも禁煙勉強会が毎日実施されるようになりました。
気分転換・運動不足解消・院内美化・日光浴など様々な目的を兼ねて院内を巡回することがありますが、 外の気持ちのよい風にあたると「タバコ吸いたいな〜」「美味しいんだろうな・・・」と話す患者さんもいらっしゃいます。
そばにいる作業療法士もその苦悩を手に取るように感じておりました。 少しでも気持ちを紛らわせたり軽くしたい。職員も試行錯誤しながら前を目指して患者さんとともに歩んでいます。

禁煙看板

精神デイケアパルクでも、禁煙勉強会が毎週行われるようになりました。
参加者が喫煙状況を報告し、改善に向かっていれば賞賛の嵐!失敗でも次を目指してみんなで励まします。 「タバコを勧められたらどうする?」などのロールプレイもあり、参加者が主体性を持って考え、 気づきを発見する場となっています。
木工活動では禁煙看板を製作し(保健所も絶賛!)、駐車場に置くようになりました。
以前の喫煙所には植物を置いて散水するようにもなりました。 タバコの吸殻とお花では景色が180度変わり、かわいくなっています♪

生活訓練施設レンメルでは、入所者様と職員で週に2回環境整備を行っています。
拾っても拾っても出てくる吸殻に落ち込むやら悔しいやら・・・ですが、 「大変だけど、きれいになると気持ちがよくてうれしい」という声に職員も喜んでいます。
また、こちらでも「禁煙チェッカー」は大活躍しています。 禁煙指導の対象となりませんように〜みなさんがんばって禁煙しています!


6.前段階:分煙認定の取得

平成18年12月27日に、南山病院みのり棟とやすらぎの里には「施設内完全禁煙施設−Aランク」(沖縄県)が、 南山病院本館とレンメルには「分煙認定施設−Aランク」(沖縄県)が認定されました!

施設内完全禁煙施設−Aランク分煙認定施設−Aランク

これまでの取り組みが外部から認められた達成感はひとしおで、禁煙活動はますます熱を帯びるようになりました。
「平成19年8月では遅い!!」という声があがるようにまでなり、当初予定よりも3ヶ月早く、平成19年5月1日より敷地内全面禁煙及び禁煙外来をスタートすることになりました。


7.施行実施

いよいよ当日。分煙室・喫煙室は閉鎖され、どなたであっても南山病院敷地内での喫煙は一切できなくなりました。
「これからが勝負」「どのようなことが起こっても絶対に揺らがない」と気持ちを引き締め、決意を新たにした日でもありました。

精神科での敷地内全面禁煙は県内では初の試みであり、全国的にもまだ例が少ないことから、社会的に大きな反響を呼びました。
施行直後にはメディアからの取材申し込みや他施設からのお問い合わせ・ 患者さんやご家族の方からのお問い合わせが数多く寄せられ、 禁煙に対する世間の関心の高さを実感することとなりました。

琉球新報 精神科病棟「たばこなし」で治療 南山病院

平成19年6月11日には・・・ついについに念願の「敷地内完全禁煙施設−Aランク」(沖縄県)を認定いただきました!!!
活動がスタートしてから約3年半。道は決して平坦なものではなく、 これまでの苦労・苦悩・努力・・・感慨にふけった職員も多かったです。 とても誇らしく、病院中が喜びにあふれた日になりました。

敷地内完全禁煙施設−Aランク


8.現在の状況

職員の喫煙者はおりません。入院中の患者さんの喫煙者もほぼゼロになりました。

敷地内からは吸殻が消え、壁のヤニが取れ、煙の臭いがなくなりました。
患者さんは顔色がよくなり、血圧が安定し、イライラの訴えが減り、金銭トラブルも減少し、いいことづくめです。

非喫煙者の患者さんからは ・・・「病院が清潔になった!」「煙臭くなくなった」
患者さんのご家族からは ・・・「顔色がよくなった」「火の始末を心配せずにすむようになった」 「家から煙の臭いがなくなった」「タバコ代が浮くようになった」

職員も安心且つ喜んでいます!

禁煙したいみなさま、どうぞお気軽に南山病院禁煙外来へご相談くださいませ。
当院は禁煙学会の禁煙専門認定指導医が2名おり、 禁煙治療に保険適用が可能な病院です。 (詳細は「禁煙外来のご案内」のページをご参照ください)

完全予約制となっており、初診のご予約は地域医療相談室(098−994−3660)が承りますので、お電話でご連絡ください。

また、現在当院に通院中の患者さんで禁煙したい方は、いつでもお気軽に主治医までご相談ください。