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- こどもの明るい未来をつくる医療安全 ~児童思春期外来~
2025年05月27日
こどもの明るい未来をつくる医療安全 ~児童思春期外来~

沖縄県糸満市には、精神科や診療内科を専門とする病院があり、地域の子どもたちが安心して治療を受けられる環境が整っています。特に成長段階にある子どもたちにとって、心の安全を守ることは何よりも重要です。南山病院では児童思春期外来を設け、子どもたちの心のケアに力を入れています。
児童思春期の精神科医療における「安全」とは、単なる事故やけがの予防にとどまりません。思春期は心が不安定になりやすく、精神疾患や家庭の問題、対人関係の悩みなど、さまざまな苦しみを抱えた子どもたちが病院を訪れます。そのため、私たちはまず「心の安全」を守ることを最優先としています。子どもの中には自分の状態を言葉で説明できない子もおり、突然不安や怒りが爆発し、物に当たったり、自傷行為に及んだりすることがあります。私たちはこうした行動の背景にある“助けを求めるサイン”を見逃さないよう、常に五感を研ぎ澄ませています。
また、児童思春期の患者さんにとっても信頼関係の構築は不可欠です。信頼関係が生まれることで、子どもたちは勇気を出して自分の言葉で感情を表現したり、治療やケアに前向きに関わってくれたりするようになります。思春期特有の課題も多く、SNSやスマートフォンとの付き合い方、容姿への意識、性に関する悩みなど、日々の生活の中で心の負担となる要素が増えています。そこで、一人ひとりがどのような状況にあるのかを把握し「何がこの子の“安全基地”になり得るのか」をチームで考え、心の安全を守ることが大切だと感じています。このような課題に対応するため、当院では多職種が連携し、一人ひとりのペースに合わせた個別性を重視したケアを提供しています。児童・思春期外来の診療を通じ、子どもたちの発達や心の健康を支えています。
子どもたちは、大人の言葉や態度を敏感に感じ取ります。そのため、日々誠実に向き合うことが、医療安全に繋がるものだと考えています。
最後に、私たち一人ひとりの行動が子どもたちの未来に影響を与えていると思います。心を守る医療のあり方を大切にしながら、子どもの心に寄り添い、日常生活を支える医療安全をこれからも丁寧に積み重ねていきたいです。
南山病院が「安全な居場所」であり続けられるよう、スタッフ一同、医療安全に取り組んでいきます。
児童思春期外来について詳しくは>>
医療安全管理者 小坪宏光