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2025年04月22日

南山病院における障がい者雇用の取り組みについて

沖縄県南部、豊かな自然と温暖な気候に恵まれた糸満市に位置する南山病院は、地域に根ざした精神科医療を提供する医療機関として、昭和59年(1984年)の開設以来、長年にわたり信頼と実績を積み重ねてまいりました。
私たちは、患者さま一人ひとりの心に寄り添うケアを大切にし、「社会復帰」という視点から、医療・福祉の両面において支援を行っております。その取り組みの一環として、障がいのある方々の雇用にも積極的に取り組んでいます。
現在、当院では精神科病棟で実際に勤務する障がい者の方々が複数名在籍しており、日常の清掃業務や物品管理、患者さまとの間接的なサポート業務など、それぞれが自分に合った業務を担いながら、病院運営を支えてくれています。

障害者雇用促進法と雇用率

障がいのある方々の社会参加を後押しする重要な制度として、「障害者雇用促進法」があります。この法律は1960年に制定され、障がい者の雇用機会の拡大と社会的自立を目的として整備されてきました。
2024年4月からは、民間企業の法定雇用率が2.5%に引き上げられ、従業員40.5人ごとに1名の障がい者雇用が必要となっています。さらに2026年7月には、2.7%まで段階的に引き上げられる予定です。
当院でもこの制度に基づきながら、単なる「数字の達成」ではなく、一人ひとりが安心して働ける職場環境の整備を重視しています。

数字ではなく、人と向き合う雇用へ

障がい者雇用においては、業務内容や職場環境とのミスマッチが起こりやすく、結果的に就労継続が難しくなるケースもあります。また、当院では障がいのある方が長く働き続けられるよう、雇用前後のプロセスを丁寧に整えることに努めています。

① 業務内容の明確化と職場実習の活用
まず大切なのは、「どのような業務を任せるか」を事前に明確にすることです。当院では、実際に病棟での業務を想定しながら、採用前に職場実習の機会を提供しています。
これにより、本人も職場の雰囲気や業務の流れを事前に体験でき、企業側も適性を確認することができるため、双方にとって安心できる雇用につながります。

② 障がい特性に応じた配慮の工夫
配慮は一律ではなく、個別性を大切にする必要があります。当院では、職員面談や「ナビゲーションブック(トリセツ)」の活用を通して、必要な支援内容を共有し、日々の業務の中でそれを反映しています。
例えば、精神科病棟で勤務する障がい者の方には、静かな作業環境や休憩の取り方などに配慮しながら、安心して働けるよう支援しています。

③ 働き続けるための生活支援
業務には問題なく取り組めていても、生活リズムや体調の変化によって就労継続が困難になることもあります。法人全体で連携し、通院サポートや生活面の見守りといった支援も行っています。これにより、勤務する障がい者の方々が安心して日常生活と仕事を両立できるよう支援体制を整えています。

障がい者雇用は「特別なこと」ではない

障がいのある方を雇用することは、決して特別なことではありません。新入社員が業務に慣れるまで、周囲がサポートしながら成長を見守るのと同じように、障がいのある職員も時間をかけて関わることで、着実に職場の一員として成長していきます。
実際に当院の精神科病棟で勤務する障がい者の方々も、周囲の職員と連携をとりながら、業務を着実にこなしてくださっています。

近年では、障がい者雇用をきっかけに、職場内のコミュニケーションが活発になったり、業務の見直しが進んだりする例もあります。多様な人材が働くことは、組織にとって新しい視点や変化をもたらし、企業文化の向上にもつながるのです。

誰もが安心して働ける社会のために

少子高齢化とともに、労働力人口が減少する現代において、「人材」は何よりも大切な社会資源です。障がいのある方の雇用は、「助ける・助けられる」関係ではなく、「共に働く仲間」としての信頼関係を築くものだと私たちは考えています。

“障害”は個人にあるのではなく、“社会”の側にある。そうした視点を持つことで、誰もが自分らしく働ける環境を実現できるのではないでしょうか。

これからも南山病院は、障がいのある方の可能性を信じ、雇用と生活の両面から支える支援を実践し、誰もが安心して働ける共生社会の実現に貢献してまいります。

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医療法人陽和会 南山病院 
人事課/福祉事業部長 阿部慎哉

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