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- 本年度も「第41回 陽和会学術大会」が開催されました。
2025年08月28日
本年度も「第41回 陽和会学術大会」が開催されました。
本年度も「第41回陽和会学術大会」が開催されました。日頃の臨床実践や研究成果を各部門が発表し合い、互いに学びを深める貴重な機会となりました。全9題にわたる発表は、それぞれが現場の課題に根差しつつ、今後の病院の発展につながる示唆に富んだ内容でした。

大会の最初を飾ったのは、理事長による特別講演でした。当法人の今後の方向性について語られました。昨今の医療・福祉を取り巻く環境変化にどのように対応し、地域と共に歩む病院を目指すのかについて語られました。統計的な指標を用いて直面している物価高や円安の中で持続可能な医療体制の構築、人材育成、そして患者と家族に寄り添う姿勢の重要性が強調され、患者様に求められ生き残る病院を目指す事を話しており、参加者一同が深く心を動かされる内容でした。
看護部からは5題の発表が行われました。急性期病棟からは「夜勤従事者のストレス」に関する調査が発表され、看護師の心身の健康と勤務環境の改善が重要なテーマであることが改めて示されました。
療養病棟からは2題の報告があり、一つは「行動制限最小化に向けたカンファレンスシートの作成」による取り組みで、患者の尊厳を尊重し結果的に行動制限が短縮されたの実践が紹介されました。
もう一つは「配薬カート導入による業務改善の意識調査と実践」であり、業務効率化と安全性の両立を目指した現場主導の改善の成果が共有されました。外来部門からは「外来患者満足度調査」をノンパラメトリック分析により検討した研究が発表され、統計的手法を用いることで患者の声をより客観的に把握する試みが報告されました。
この研究は満足度調査の重要性からスタッフの質向上に向けた指針設定にとても重要な研究となりました。さらに看護部全体からは「精神科病院における職員の倫理的組織風土と入院患者満足度の関連性」に関する発表があり、職場の倫理的環境が患者体験へ影響を与えることを示唆する意義深い研究となりました。この研究は未だ始まった段階な為、妥当性の追求に課題は残りましたが、職場風土と患者様の対応の関係に言及していくすばらしい研究でした。
医療安全委員会からは「精神科病院における患者から職員への暴力に対する看護管理者の認識と対応実態に関する質的研究」が報告されました。現場で直面するリスクに対して管理者がどのように捉え、対応しているかが整理され、職員の倫理観と患者様への対応について丁寧に分析されており、医療安全の基盤を考える上で重要な知見となりました。
リハビリ科からは「地域で生活する精神疾患をもつ当事者の意思決定に関するTEMを用いた探索的研究」が発表されました。本人の主体的な意思決定を尊重し支援するための手法を検討したもので、地域生活支援に新たな視点を提供する内容でした。
就労支援B型事業所からは「盲ろう者の支援に関する実態と課題の把握」が発表されました。複合的な障害を持つ方々への支援の現状と課題を整理することで、就労事業所における多様性の利用者様の支援の在り方を考察されており、支援の方向性を考えるうえで重要な手掛かりとなりました。
精神科デイケアからは「WRAP(元気回復行動プラン)に関する文献レビュー」が発表されました。国内の知見を整理し、陽和会のデイケアでWRAPを展開する為にどのような効果を目指して取り組むかの指針となる研究であり、セルフケアやリカバリー支援の観点からデイケアが果たす役割を再確認する発表となりました。
本大会は、各部門が日々の臨床や業務の取り組みをあらためて学術的な視点で捉え直し、その成果や工夫を共有する場として開催されました。各演題では、現場で培われた経験や知見が具体的に示され、参加者は互いの取り組みから学びを得ることができました。こうした知見の共有は、単なる情報交換にとどまらず、現場での改善や業務の質向上に直結する貴重な機会となります。
また、日々の臨床実践に新たな視点やアイデアをもたらし、組織全体の成長を促す契機ともなります。さらに、学術大会を通じて職員同士の連携や協働意識が高まり、組織としての一体感や向上心が醸成されます。これにより、当院が目指す未来に向けた取り組みの基盤が強化され、持続的な発展に資する力強い礎が築かれます。特に当院は南部圏域においてアクセスの良い立地に恵まれており、この地理的優位性が地域の患者や関係機関からの信頼と認知につながっています。学術大会での取り組みや成果の発信は、地域の方々からの理解を深め、当院が地域医療の中核として役割を果たすことをさらに強固にするものです。
こうした活動は、職員一人ひとりの成長にもつながり、より質の高い医療提供を実現する力にもなります。今後も定期的に学術大会を開催することで、知の蓄積と共有の文化をさらに発展させ、病院全体の成長と地域医療への貢献につなげていくことが期待されます。
南山病院
リハビリ科 玉城 亮