ピックアップピックアップ

ピックアップ

2025年10月14日

学校に行けない日々と向き合う

~不登校の背景と支援のあり方~

「朝になるとお腹が痛いと言って起きられない」
「制服を見るだけで涙ぐむ」
「学校の話題になると黙り込む」
そんなお子さんの様子に、戸惑いや不安を感じたことはありませんか。

不登校は、決して珍しいことではありません。文部科学省の調査によると、全国で年間30万人以上の児童・生徒が不登校の状態にあると報告されています。糸満市でも、学校に行けない日々を過ごす子どもたちが少なくありません。

不登校の背景は、一人ひとり異なります。友人関係の悩み、先生との相性、学業への不安、家庭環境の変化、発達特性や精神的な不調など、複数の要因が絡み合っていることもあります。思春期は心の揺れが大きくなる時期でもあり、本人ですら自分の気持ちをうまく言葉にできないことがあります。

「甘えているだけでは?」「無理にでも行かせたほうがいいのでは?」そんな声が聞かれることもありますが、不登校は単なるわがままではありません。心や身体が「今は休みたい」と訴えているサインかもしれません。まずはその声に耳を傾け、否定せずに受け止めることが、支援の第一歩です。

沖縄県糸満市にある当院の精神科・児童思春期外来では、不登校に関するご相談を多く受けています。「学校に行けない」という状態だけでなく、その背景にある心の動きや環境の変化を丁寧に見つめ、医師や心理士が保護者とともに支援の方向性を探っていきます。

診察では、お子さまの気持ちを尊重しながら、必要に応じて心理検査やカウンセリングを行います。発達特性や精神疾患の可能性がある場合は、適切な診断と治療を通じて、本人が安心して過ごせる環境づくりを支援します。また、学校との連携や、復学に向けたステップの相談も行っています。

不登校の支援において大切なのは、「学校に戻すこと」だけを目的にしないことです。子どもが自分らしく生きるために、どんな選択肢があるのかを一緒に考えること。その過程で、親子の関係が深まり、子ども自身が「自分の気持ちをわかってもらえた」と感じることが、回復への大きな力になります。

学校に行けない日々は、子どもにとっても保護者にとっても、つらく、先が見えないように感じることがあります。けれども、その時間は決して無駄ではありません。心が回復し、自分のペースで歩き出すための大切な準備期間でもあります。

私たち児童思春期外来は、糸満市をはじめとする地域の皆さまと連携しながら、子どもたちの「今」と「これから」に寄り添う医療を目指しています。学校に行けない日々にそっと寄り添う場所として、どうぞご活用ください。

診療部部長 森園修一郎

                        

お問い合わせContact

お電話でのお問い合わせ

TEL. 098-994-3660受付時間/平日8:30~17:00

Webからのお問い合わせ

お問い合わせフォーム